《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

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◆ヴァンデール奇譚・序 / 第一節

『その昔、天上神ゼロに仕えた碧目(ろくもく)種族は地上界に名を馳せる美貌持ちであったが、種族の女長ヴァンデールが神の子息ラオスと恋に堕ちたことで天上神の逆鱗に触れ、一族はその容姿を奪われた。(以下略)』

◆ヴァンデール奇譚・序 / 第二節

『ヴァンデールとその種族を哀れに思ったラオスは、種族を元の美貌に戻すことを条件に、彼らに新たなる贖罪を与え賜うた。(中略)それは代々続く種族にとって大変に重く、惨たるものであったという————。』



꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳



「ちょっと待ってください、そんなお話、聞いてません……!」

立ち上がった勢いで、丸いスツールがガタン! 大理石の床に転がった。
慌てる彼女を横目に群青色の制服を整然と着こなした担当侍従はやけに涼しい顔をしている。

「『白の侍女』二十名は宮廷に従事する約三百名の侍女の中で最も高い地位を保ち、給金は『紺の侍女』の倍額。よって『白の侍女』の肩書を得ている。不勉強なそなたが悪い」

宮廷で過ごす一年間について説明を受けるなかで、自身に告げられた職務内容に耳を疑うような文言があったため、セリーナ・ダルキアは思わず腰を上げたのだった。

「も、……もう一度確認させていただきたいのですが? こ、この《《伽の世話をする》》と言うのは、その……」



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