《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
ただ——こういうフリフリした服を着た自分の姿を鏡で眺めてみても、セリーナには違和感でしかなかった。
「アリシア、素敵……! とてもよく似合っています!」
こちらに目を向けたアリシアが「セリーナもっ」と言いかけたが、言葉に詰まってしまう。お世辞でも『似合っている』とは言えなかったらしい。
「この違和感は何かしら? そうだ。ちょっと待ってて」
ゴソゴソと鞄の中をあさり、大きな巾着袋を持ち出してくる。
「えっと、ここをこうして……眉を整えて。髪もこうやった方がいいわね?」
セリーナの頼りない真っ直ぐな髪は、アリシアの『秘密兵器』ですっかりまとまってしまうのだった。
「すごいわ……お花の香りがします! アリシアは治癒以外にも《魔法》が使えるのですねっ」
「魔法って、香油を少し馴染ませただけよ?」
と、手渡されたのは青い小瓶。
とろりとした透明の液体が入っている。