《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「こう、ゆ?」
「ええ。魔法でもなんでもないけれど、良かったら一緒に使いましょう」

それは生まれてはじめて見てふれるもので、セリーナの心を強く揺さぶった。
この液体が髪の毛をまとめてくれると言うのか。
やっぱり、魔法だ……。

「できたっ。鏡を見て」

アリシアに促され、なんとなく見たくなくてうつむいていた顔を上げる。
綺麗な……とは決して言い難いが、薄化粧を施され、髪をきちんと結わえた《《こぎれいな》》な侍女が鏡に映っていた。
フリフリの白いお仕着せの違和感も少しはマシになった気がする。

「ぇ……私、なんだか」
「ふふ、どうしたの、そんなに不思議そうな顔をしなくても」

——なんだか、普通の侍女に見える気がします

心の底からホッとする。
これならセリーナも《《場違いな侵入者》》に間違われたりしないだろう。




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