《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「お茶を淹れましょう、その前にお湯を頼まなくちゃね。茶葉も色々揃っているのよ。セリーナはどれが好き?」

侍女部屋の片隅に立派な設えのパントリーがあった。
いつでも軽く飲食ができるようにとの配慮なのか、銀製のトレイに並べられた美しい菓子や、ミントを浮かべた水のピッチャー以外にも紅茶の茶葉やアルコールの瓶やグラスなんかも置いてある。

「私はよくわからないので、お任せします」

パントリーの飲み物や菓子はどれもこれもがセリーナには真新しく、茶葉の一つを取っても初めて目にするものばかりだ。

皇城で過ごす初日の今日、着替えを済ませたあとは夕食の時間まで何をしていても良いとのことだった。

「アリシアはお城のことに詳しいのですね。大広間から使用人の居住棟までの行き方もご存知でしたし」

十種類ほどの茶葉を物色する手を止め、綺麗な面差しが「え?」と振り向いた。



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