《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
「ええ、両親には反対されました。年齢も年齢ですし、両親は少しでも早く結婚させたかったみたい。でも一次採用の通知をいただいたとき、私の熱意に負けて許してくれました——皇宮にお仕えする上級侍女の肩書をいただくのは、女性として《《はく》》がつきますから」
『皇宮』とは、皇族の一家や招かれた要人のみが住まう特別な場所である。
皇族の日々の世話を任されるのは、三百人を越す侍女たちの中でも『白の侍女』である上級侍女とベテランの指導官たちだけだ。
それで《はくがつく》というのは、皇族のそばで力量を発揮できる者として認められたということだろうが、セリーナにはよく理解できなかった。
「宵のお世話と言っても皇太子殿下は『禁忌』を抱えてらっしゃるので、間違っても私たちが懐妊するようなことはありませんし」
「禁忌、って」
「あぁ……ええ。セリーナにもそのうちわかると思います」
アリシアは意味ありげに顔をそらせたのが気になったが、そのうちわかると言うのならおとなしく待とうと思った。
——宵のお世話、すなわち皇太子殿下の夜伽役。
カイル皇太子殿下は次の皇帝となる方ですし、そこらへんの男性とは次元が違うのでしょうけれど……伽行為を飛び超えて懐妊するとかしないとか、私にとっては異次元の話です!