《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
 セリーナの動揺をよそに、アリシアは視線を落として淡々と続ける。

「高額なお給金目当てで皇城にやってくる人もいますが、白の侍女のほとんどが皇太子殿下に対して《特別な想い》を抱えていると思います」

——特別な想いって、もしかしたら……ええ、きっとそう。
でなければ、こんなお仕事つとまりませんよね。

「皇太子殿下は、たとえ肩書きが同じ《侍女》でも《白の侍女》じゃなければ触れることはおろか、まともにお顔を見ることさえも許されない。運よく白の侍女になれたとしても、叶わぬ恋ですけれど」

セリーナの想像はどうやら正しかったようだ。
上級侍女に志願する女性たちは皇太子殿下に恋慕の情を抱いていて、皇太子の白の侍女として関係を深め、あわよくば見そめられたいと思っている……そういう事なのだろう。

アリシアのような素晴らしい女性が憧れ続けても、簡単には叶わぬ恋心の寂しさや切なさが、ほんのり紅く染まった頬から伝わってくる。



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