《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
青年の気遣いは有難いけれど、休憩を続けるにも手持ち無沙汰だ。
植物が生い茂る天井を見上げたり深呼吸をしてみたり……セリーナは落ち着かない。
そんな様子を見かねたのか、青年が本から視線をすべらせた。

「花が好きなのか?」
「え…… ぁ、はい」
「わたしも温室《ここ》が好きだ。気持ちを落ち着かせたい時に来る……」

青年は肩にとまっていたフレイアを指先に移し、目の前に持ってきて静かに見つめている。

「フレイアが指にとまるなんて! 滅多に人のそばには来ない子なのに」

ン……?
青年は首を傾げたが、すぐにセリーナの疑問を察したようだった。




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