《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
慌てて温室の出入り口に向かう。
扉を開けて外気に触れたとき、あの青年が皇宮の方に向かって歩いて行くのが見えた。

——皇族の方々が住まう皇宮に出入りしているなんて。
あの人、どう見ても侍従ではなさそうだし……皇宮付きの高官か何かかしら?
お召し物も、高級《たか》そうでした。

青年が腕を通さず無造作に羽織っていたフロックコートには、繊細な銀糸の刺繍がふんだんに施されていたのだった。




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