《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

皇太子のために集められた見目麗しい『白の侍女』は二十人もいるのだ。しかもセリーナ以外の皆がこの鬼畜な責務を待ち望んでいる。
皇太子だって嫌がっているセリーナに無理強いする必要もないだろう。

大剣を振るうべく鍛えられた筋肉質な体躯に、月の光が青白い影を落としている。
美術品でも眺めているかのようなその光景は筆舌し難いほどに(なまめ)かしく、セリーナの鼓動がどくりと跳ねた。

「なんだ、可愛いじゃないか」

ふ、と目を細めた皇太子は妖狐のような薄い笑みを浮かべている。その視線が刺さるようで、セリーナは無意識に両腕で自分の身体を掻き抱いた。

「そっ……そんなふうに、見ないでください……」


< 6 / 77 >

この作品をシェア

pagetop