《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

皇后陛下を支えていた医官が「そろそろ横になられてくださいませ」と諭《さと》すと、コホ、コホ。
再び寝台に身体を預けながら、陛下は小さく咳き込んだ。
すかさず傍に控えていた看護人がハンカチを口元に差し出す。

「あなたの名前を見つけた時は、驚いたのよ? こんな形で、あなたとまた会えるなんて……思ってもみなかった事だから」

——私の、名前を見つけた……?!

新たに雇われた使用人のリストか何かをご覧になったのだろうか。

——ちなみに私、当たり前だけど皇后様にお会いしたことなんてありませんよ? 小さい頃の記憶もないですし……両親だって村から一歩も出たことないですし……。

深まるばかりの謎に、セリーナは黙って首を傾げるしかない。 




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