《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「まぁ、皇太子の白の侍女……? そう、あなたが……」
 
陛下の息遣いが唐突に荒くなった。

「ごめんなさいねセリーナ。でも《《こうなって》》しまったこと、わたくしは何か見えない力が働いたのだと……思うの」

——そうなのです。
この不甲斐ない私が……何故だかわかりませんが、このような大それたお役目をいただくことになってしまいました。

こんな自分が宮廷の侍女だなんて。
なにやら得体の知れない申し訳なさで一杯になる。

「あなたのことは……よく《《理解》》しています。そしてそれは、このような病を患ったわたくしの《楽しみ》でもあり、《願い》でもあるのです」

皇后陛下の蒼《あお》く澄んだ瞳がうるみ、セリーナの碧色《みどりいろ》の瞳を見透かすように見つめている——。




< 61 / 77 >

この作品をシェア

pagetop