《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
陛下とのやりとりをアリシアに相談したいけれど——。
「私も結局、よくわからなくて」
皇太子の事を慕っているというアリシアに、皇后陛下、つまり皇太子のお母様から『息子を頼む』と言われたなんて、何となく打ち明けにくい。
『ひとり息子のことを、よろしく頼みます』
命を削るように訴えかけた陛下の言葉が、重く心に響く。
お優しい陛下のために出来る事があるならば、何とかしてあげたい。
だけど——陛下と同じく雲の上の存在である皇太子に対して、自分に一体何が出来るだろう?
数日前まで帝都から遠く離れたロレーヌの地方で、帝国の皇族なんてものとは微塵の縁もなく、泥をかぶっていた平民の自分に。
——美味しい野菜でも作ってお届けすることくらいしかっっ!