《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

——私のような初心者は本番までにイメージを膨らませて、慣れておかねばなりませんね……。でも私、イメージだけで頭が茹だってしまいそうっ。

セリーナは困り果ててしまう。
先ず『宵の業務』などと言われても、自分は何をどうすれば良いのかさえわからない。
夜のお世話と言うからには、添い寝するだけでは済まされないだろう。
とてもデリケートな事であると思うし、どう考えても恥ずかしくて、人に聞くわけにもいかない。

——あんなに美丈夫な男性を目の前にして、私の心臓っ。
爆発してしまわないかしら?!

それに、こんなに無知で惨めたらしい自分を相手にする皇太子殿下も気の毒だ。

——お当番が、どうかまだまだ回ってきませんように!

皇太子から受け取った封筒が妙に重く感じる。
どうにも肩がすくんで、セリーナはその場に立ち尽くしたまま足を踏み出せないのだった。



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