《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

不安と心配を顔中に滲ませているセリーナを見て、アリシアはふ、と微笑んだ。

「あんなの、ちょろいものでしたよっ!」
「ちょ、ちょろい……?」
「ええ、全然へっちゃらでしたよ。と言うか、眠れないほど私を心配してくれていたのですか?」

心配は、やはり杞憂《きゆう》だったに違いない。
いつもと変わらないその穏やかさに、セリーナはひとまず胸を撫で下ろす。同時に感心してしまう……アリシアは《《ベテラン》》の匂いがする、と。

「心配と言うか、私もこのあいだ皇太子殿下のお顔を拝見したので……変な想像が膨らんで落ち着かなかったって言うか」
「やだ、変な想像なんて!? 恥ずかしいからやめてくださいっ」

アリシアが笑うのを見て、ようやく安堵した。

——どうやら彼女にとってこのお仕事は、本当に《《ちょろ》》かったようですね……?




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