《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「そうだ、アリシア。眠る前に少しだけアムレット、一緒に飲みませんか?」

アムレットは甘いお酒だ。
お酒は飲み慣れていないけれど、まだ興奮ぎみだから、少し飲めばよく眠れるかもしれない。
パントリーに向かおうと、セリーナがアリシアに背を向けたとき……

「待って……!」

突然、腕を取られた。
驚いて振り向けば、アリシアがセリーナの腕をつかんだまま俯《うつむ》き、肩を小刻みに震わせている。

———え……?!

「あの、どうかしましたか?!」

見れば翡翠のようなアリシアの瞳が、涙をこぼしていた。



< 75 / 77 >

この作品をシェア

pagetop