《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

セリーナは、隣で穏やかな寝息を立てている《戦友》を見遣った。
アムレットの手伝いも効かず、すっかり目が冴えてしまって眠れない。

——よほど心が辛かったのですね

高貴で誇り高い女性のお手本のようなアリシアが。
沈着冷静な彼女が泣きながら取り乱す様子は、正直ショックだった。

——それにしても皇太子殿下の所業! 冷酷だという酷い噂は本当だったのですね。
ご自分はいい思いをされてるでしょうけど、『宵の業務』だなんて夜伽を強制して、こんなふうに女性を泣かせて。
これでは皇太子という身分の傘を着た『悪行』じゃないですか。

アリシアの涙のおかげで、大事なことに気が付いた。
好きだとか嫌だとか、恥ずかしいとか怖いとか……この仕事に感情を持ち込んでしまったら、きっと務まらない、その時点で負ける。

「宮廷《ここ》に来てまで、負けたくない……」

消化できない気落ちを抱えながら、セリーナは目を閉じた。

——私は何があっても、絶対に泣かされたりしませんからっ。

そして数日後。
セリーナもいよいよ、畏《おそ》れていたその時を迎えることになる。




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