《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
美しさを競うはずの白の侍女もレベルが落ちたな、とさえ思う。
まあ侍女がどんな容姿をしていようとアドルフにすればどうだっていいのだが。
──言いつけた仕事さえきちんとしてくれれば。
緊急に開かれた接見を終え、皇太子とともにようやく昼食にありつけたのは午後一時を過ぎた頃だった。
「やはり長引きましたね。ダイアウルフの出現があったと聞き及びましたが」
「うむ。ダカール地区周辺の結界を強化するよう伝えておいた。場合によっては我々も出向かねばなるまい」
「ロイスをここに呼んであります」
中庭のテラス席で軽食を取りながら、カイルとアドルフが接見の内容を復習する──日々のお決まりである。
「お待たせしました〜!」
柔らかそうな栗毛に風をはらませながら爽やかに登場したのは、ロイス・スタンフォード。
その軽装に似合わず、腰元に仰々しいまでの長剣を携えている。
「うわっ、うまそ〜う!」