《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

 ロイスが二つ目のたまごサンドを手に取る。

「おい、たまごサンドばかり食うんじゃない」
 アドルフが噛みついた。

「目撃証言は? 人が襲われるところを見た者はいないのか。奴がまだ結界の中にいるとすれば、早急に見つけ出して駆逐せねばなるまい」
「証言があった場所は既に痕跡がなくて。不可解なのは、外側から結界を破った形跡が無いんですよね……」

 予想外だった報告を聞き、カイルが険しい表情(かお)で宙を(にら)む。

「ダカールは帝都からも近いしな。敵も一頭とは限らない。厳戒令を敷いて結界と警備を強化する。ロイス、指揮を頼むぞ」

「お任せあれ〜!」
 言いながら、食いしん坊はすでに三つ目のサンドウィッチをすでに頬張っていた。

「ところで殿下……」

 アドルフが眉間に僅かな皺を寄せ、ひどく迷惑そうな顔をする。




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