《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

First Revenge / ド初心者侍女に苦戦する皇太子




 次にセリーナが皇太子の寝所を訪れると。
 即座に扉が開いて、半裸のカイルがセリーナを見下ろした。

 蒼《あお》い光をたたえた鋭い眼光が醸し出す冷たさ、繊細な顔立ちにそぐわず鍛えられた体躯の威圧に気圧され、怯んでしまう。しかも目の前にあるのは男性の裸体だ。

 ──真上から見下ろされると怖さが増しますっ。殿下は随分背が高いのですね……? 改めて実感しました……。

「念のために言っておくが、待ってたんじゃないからな?」 

 おもむろに目を逸らせると、カイルはぐ、と奥歯を噛みしめた。

 ──何を不要な発言してるんだ俺はッ、これじゃ待ってましたと自分から言ってるようなものではないか……!

「はい!」

 素直に受け入れたのか、元気に応えた侍女が屈託のない笑顔で見上げてくる。
 それはあまりにも無防備で、純真無垢な少女の微笑みにはまるで後光が差すようで。

 ──この侍女、俺を拒絶したことすら忘れたんじゃないのか?




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