《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

 にこやかに笑顔を見せるセリーナに、カイルは「調子狂うのだが」と項垂《うなだ》れる。

「白の侍女になったからには、わたしはお前を、お前はわたしを悦ばせるというそれぞれの責務があるのはわかっているな?」

「はいっ。私はいつでも皇太子様に喜んでいただきたいと、心から思っておりますよ?」

 ──いやだから、そういう意味ではなくて。

 この侍女、やっぱりド初心者だ、それも鈍感極まりないド初心者……!
 カイルは何度目かの頭を抱えた。

「じゃあ、お前はどうすると悦ぶんだ?」

 真顔でささやき、腕を伸ばしてセリーナを引き寄せる。
 力を入れると折れてしまいそうな身体を腕の中に抱きとめた。

 

 
 
< 97 / 112 >

この作品をシェア

pagetop