《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

 ────うぎゃっ!!

 セリーナが変な声をあげてカイルの腕から飛び退いた。
 驚く暇もなく呆気に取られる皇太子に、変人侍女は深々と頭を下げる。

「も、申し訳ありません、皇太子様が急に《《下劣なことを》》なさったので、つい……」
 
 
 抱きしめる事もできないなんて想定外だった。
 ぽかんと開いた口がふさがらない。

「げれ……」

 ──この侍女は何なんだ。拒絶されないように抱きしめて不意打ちを狙ったが、それを下劣だと……ッ!?

 セリーナが部屋に来てから、短い間に何度も立て直した気力がへなへなと萎えていく。

 ──確信犯じゃないだろな、おい。




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