大切なきみがいつまでも幸せでありますように
1.
「今年はふたりで花火大会行こう。約束な!」
鮮やかなオレンジ色の夕暮れが、落ち着いた藍色に変わっていく。
心臓の音も、急ぐ自分の足音も、とてもさわがしい。
ようやくたどり着いた待ち合わせ場所の神社の前。
あたしに気づいたあいつは、穏やかに目を細めて、
「凪沙!」
と、片手をあげる。
今の空と同じ藍色の浴衣を着た拓海がいた。
日に焼けた肌。背が高いわりに、ちょっぴりあどけなさの残る顔つき。
浴衣姿は大人っぽいフンイキだけど、その笑顔はいつもと変わらない。
「どした、なにボーッとしてんの? まさかオレに見とれてるとか?」
あたしはハッとわれに返る。
「ち……ちがうっ。そんなんじゃないよ。ちゃんと約束どおりに来てくれたんだな、って驚いただけ」
「そりゃ、オレだって約束のひとつくらいは守るって」
「だって、拓海ふだんすごいルーズじゃん。だいたいいっつもあたしが先に待ってるし、時間どおりに来てくれたことなんて……」
拓海はうるさそうに耳をふさいで。
「わーった、わーった。そんなにカリカリすんなよ。せっかく久しぶりに会えたんだから、もっとうれしそうな顔見せろ」
カリカリすんな?
あたしはうれしそうどころか、むうっとほおをふくらませて、
「誰のせいだと思ってんの?」
と、不満をぶちまける。
だけど、拓海はそんなあたしをおもしろそうに笑って、
「じゃあ、行こっか」
と、手をつないで歩きはじめた。
鏡を見てないけど、自分のほおが赤くなったのが分かる。
ダメだな、あたし……。
さっきまでムカついてたはずなのに。
鮮やかなオレンジ色の夕暮れが、落ち着いた藍色に変わっていく。
心臓の音も、急ぐ自分の足音も、とてもさわがしい。
ようやくたどり着いた待ち合わせ場所の神社の前。
あたしに気づいたあいつは、穏やかに目を細めて、
「凪沙!」
と、片手をあげる。
今の空と同じ藍色の浴衣を着た拓海がいた。
日に焼けた肌。背が高いわりに、ちょっぴりあどけなさの残る顔つき。
浴衣姿は大人っぽいフンイキだけど、その笑顔はいつもと変わらない。
「どした、なにボーッとしてんの? まさかオレに見とれてるとか?」
あたしはハッとわれに返る。
「ち……ちがうっ。そんなんじゃないよ。ちゃんと約束どおりに来てくれたんだな、って驚いただけ」
「そりゃ、オレだって約束のひとつくらいは守るって」
「だって、拓海ふだんすごいルーズじゃん。だいたいいっつもあたしが先に待ってるし、時間どおりに来てくれたことなんて……」
拓海はうるさそうに耳をふさいで。
「わーった、わーった。そんなにカリカリすんなよ。せっかく久しぶりに会えたんだから、もっとうれしそうな顔見せろ」
カリカリすんな?
あたしはうれしそうどころか、むうっとほおをふくらませて、
「誰のせいだと思ってんの?」
と、不満をぶちまける。
だけど、拓海はそんなあたしをおもしろそうに笑って、
「じゃあ、行こっか」
と、手をつないで歩きはじめた。
鏡を見てないけど、自分のほおが赤くなったのが分かる。
ダメだな、あたし……。
さっきまでムカついてたはずなのに。
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