大切なきみがいつまでも幸せでありますように

3.

 ずっと緊張しているあたしとは対照的に、拓海はとてもニコニコしながら、
「オレ、今日凪沙に会えてめっちゃうれしー! 久々だもんな、いつぶりだっけ?」
 と、あたしの頭にいたずらっぽく手をやった。
「……二か月ぶりくらいだけど」
「二か月? そうかー、もうそんなに経つかぁ」
 その能天気な言いかたに思わずイラッとなる。
「そうだよ! もう二か月も経ったんだよ。こんなふうにちゃんと会いに来れるんだったら、もっと早く会いに来てくれたらよかったのに」
 そんなあたしに、拓海はペコッと頭を下げて。
「ゴメン! モタモタしてて。ちょっといろいろあったからさ。そのぶん、今日はいっしょにいるから。機嫌直してくれよ」
 もう、勝手なんだから。

「うーん♪ やっぱかき氷はいちごだよねー」
 花火の見える海岸まで歩いて行く途中、出店で買ったかき氷のおいしいこと。
 いちごの甘さと冷たさが夏の暑さにバテた身体に染みわたるよー。
 ザクザクとかき氷をほおばってごきげんのあたしを見て、
「なんかかき氷に負けた気分」
 と拓海。
「なにそれ?」
「ホントはオレの顔見て、いちばんに凪沙に笑顔になってほしかったんだけど」
「はー? なにその言いかた。しばらく会わないうちにずいぶんナルシストになったんじゃない?」
「そう? でもオレ、イケメンじゃね? よく見てよ」
 わざとらしくカッコつける拓海を、
「はいはい、イケメン、イケメン」
 と軽くスルーするあたし。

 中学のときからあたしたち、いつもこんなふうにふざけ合ってた。
 顔を合わせるたびに他愛ないやりとりをくり返して。
 拓海といるあいだは、いつも心が軽くなってた。
「ねぇ、拓海」
「なに?」
「いてくれるよね? これからも、ずっといっしょに――」
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