大切なきみがいつまでも幸せでありますように
4.
そのとき、パァン、と風船が大きくはじけるような音がした。
夜空に、大きなオレンジ色の花火が浮かび上がっている。
「おっ、始まったな」
拓海が空を見上げる。
あたしの問いかけは、花火の音にかき消されて拓海の耳には届かない。
鮮やかな花火が、次々に夜空を彩っては消えて行く。
すっごくキレイ。それなのに。
まるで楽しかった思い出が、あっという間に幻になっていくような切なさが胸にこみあげる。
終わらないで、このままずっと続いて。
こんなに華やかなのに、生き生きとしてるのに、消えちゃうなんてイヤだよ。
思わず拓海のほうを見ると、拓海の身体がさっきよりも透けているのに気づいた。
拓海は涙目のあたしに気づくと、少し困ったように苦笑いして、
「そんな顔すんなって。オレはこれからもずっと凪沙のそばにいるから。例え、姿が見えなくなっても」
「やだ。これからも、拓海といっしょにいたいよ。たまに離ればなれになっても、またこうやって会いたい――」
拓海は泣きじゃくるあたしをギュッと抱きしめると、
「オレ、凪沙に出会えてよかったよ。だから、これからもどうか笑顔でいてくれ。オレ、ずっとお前のこと見守ってるから」
と、キスをした。
花火のきらめきで、昼間のように空が明るくなったかと思うと、まるで魔法が解けたかのように静かになった。
「拓海……?」
もうあたしの前に拓海の姿はいなかった。
あの無邪気な笑顔も、少し低めの声も、どこにも見えない、聞こえない。
夏祭りの夜が終わったんだ――。
夜空に、大きなオレンジ色の花火が浮かび上がっている。
「おっ、始まったな」
拓海が空を見上げる。
あたしの問いかけは、花火の音にかき消されて拓海の耳には届かない。
鮮やかな花火が、次々に夜空を彩っては消えて行く。
すっごくキレイ。それなのに。
まるで楽しかった思い出が、あっという間に幻になっていくような切なさが胸にこみあげる。
終わらないで、このままずっと続いて。
こんなに華やかなのに、生き生きとしてるのに、消えちゃうなんてイヤだよ。
思わず拓海のほうを見ると、拓海の身体がさっきよりも透けているのに気づいた。
拓海は涙目のあたしに気づくと、少し困ったように苦笑いして、
「そんな顔すんなって。オレはこれからもずっと凪沙のそばにいるから。例え、姿が見えなくなっても」
「やだ。これからも、拓海といっしょにいたいよ。たまに離ればなれになっても、またこうやって会いたい――」
拓海は泣きじゃくるあたしをギュッと抱きしめると、
「オレ、凪沙に出会えてよかったよ。だから、これからもどうか笑顔でいてくれ。オレ、ずっとお前のこと見守ってるから」
と、キスをした。
花火のきらめきで、昼間のように空が明るくなったかと思うと、まるで魔法が解けたかのように静かになった。
「拓海……?」
もうあたしの前に拓海の姿はいなかった。
あの無邪気な笑顔も、少し低めの声も、どこにも見えない、聞こえない。
夏祭りの夜が終わったんだ――。