男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 な・に・よ・り! 私は公式にレオンの恋人だ。

 二次元でも、白黒でも、ましてやコマ割りの中に存在するキャラとしてではなく、三次元で、フルカラーで、声も熱も匂いも全てを感じる事のできる推しキャラが、私の恋人とか。
 たとえそれが形だけの偽りだらけで歪な関係だとしても、私は十分だ。
 レオンの恋人ポジにいれるだけで爆ぜれる。いや、爆ぜちゃダメ。今はまだ。

 ヒロインのマリーゴールドは私のお気に入りキャラでもある。
 ヒロインは可愛くて清楚で、誰も嫌いになんてなれないでしょ? ってキャラに設定してある。だからそんな二人の恋仲を邪魔するつもりは毛頭ない。
 マリーゴールドが現れる前まで甘い汁を吸わせていただき、ヒロイン登場したタイミングで私は悲劇のヒロインかっつーくらいに周りの同情を引きながら円満に別れるつもりだ。

 この喜びは『青愛』がアニメ化決定した時並だ。ううん、それ以上かも。
 何せ『青愛』はアニメを生で見れかったけど、レオンと恋仲にあるという状況はすでに始まっているのだから。

「いやーめでたい。本当にあの侯爵を落とすとは実の娘ながらあっぱれだ」

 ガハガハと笑いながら食餌を取るマルコフにも、私は終始笑顔で対応する。
 私だってガハガハ笑ってやりたいくらいめでたいと思っているのだから。

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