男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「という事は、レオン様が私を気に入った理由は、顔ですか?」

 まぁ美人顔ではあるわよね。
 作者目線で見てるせいってのもあるけど、愛情込めて描いたリーチェの顔。たとえモブで一瞬しか顔を出さないキャラでも、念入りに外見を作ったから。

 でも顔で言えば、絶対マリーゴールドには負けるけど。レオンの本当のパートナーだから、そこは断言できる。そして君はそんな彼女に一目惚れをするのだから。
 私に一目惚れしたなんて言ったのは言葉のあやだとでも言いたくなるほどに、レオンはマリーゴールドと恋に落ちるんだ。

 ……そう思うと胸の奥がギュッと締まるような気がしたけれど、私は唇をキュッと噛んでその感覚を誤魔化した。

 レオンは私の鼻にハンカチを当てながら、空いた片方の手で、私の髪を梳くように撫で付けている。
 密室でこの距離で、冷たい色をした瞳から太陽のような暖かさを放たれたら、本当に心臓がもたない。
 そんな風に思っていた時だった。

「どうでしょう。もちろん私は、あなたの顔が好みです。その愛らしい唇も、すぐにのぼせてしまい血を出す鼻も、蜂蜜のような瞳も、この燃え上がるようで柔らかな綿毛のような髪も」

 レオンは言いながら、その部位一つ一つを愛でるようにして触れていく。
 私の顔はきっと、この鼻血と同じように真っ赤に染まっている事だろう。自信がある。
 鼻血がなかなか止まらないのがその証拠だ。

< 122 / 137 >

この作品をシェア

pagetop