男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
私の頬からそっと手を引くと、私の肩に掛けてくれたレオンのジャケットのポケットに手を入れ、そこから丸めた紙を取り出した。
丸めた紙は赤いリボンで留められていて……。
「お前! それは……」
レオンが手に取ったものが何なのか、瞬間的に理解したキールの表情から笑みが消えた。
そしてそれには私ですら見覚えがあった。それはついさっき、この公爵邸に来た時、キールが手にしていたものと同じ羊皮紙で出来ている。
その上あの黒味を帯びた紅色は、皇族の象徴でもある色。そう、あの手紙の差出人はまさしく――。
「俺も急ぎで陛下から書面をいただいたんだ。苦労したぞ、事前の約束もなく陛下とコンタクトとるのは容易ではないからな」
どうやって皇帝とコンタクトを取ったのか。いくら一番足の速い駿馬で駆けたとしても、行って戻ってくるには早すぎる。皇帝がいる城はここから数時間で行けるような距離ではない。
となれば、魔法によるものだろうか。
レオンがそばにいるだけで、さっきまで恐怖に慄いていた私の気持ちが落ちつき、冷静さを取り戻し始めていた。
そんな中で、シュルリと蘇芳色のリボンを解いたレオンは、巻かれた紙をキールに向けてかざした。
丸めた紙は赤いリボンで留められていて……。
「お前! それは……」
レオンが手に取ったものが何なのか、瞬間的に理解したキールの表情から笑みが消えた。
そしてそれには私ですら見覚えがあった。それはついさっき、この公爵邸に来た時、キールが手にしていたものと同じ羊皮紙で出来ている。
その上あの黒味を帯びた紅色は、皇族の象徴でもある色。そう、あの手紙の差出人はまさしく――。
「俺も急ぎで陛下から書面をいただいたんだ。苦労したぞ、事前の約束もなく陛下とコンタクトとるのは容易ではないからな」
どうやって皇帝とコンタクトを取ったのか。いくら一番足の速い駿馬で駆けたとしても、行って戻ってくるには早すぎる。皇帝がいる城はここから数時間で行けるような距離ではない。
となれば、魔法によるものだろうか。
レオンがそばにいるだけで、さっきまで恐怖に慄いていた私の気持ちが落ちつき、冷静さを取り戻し始めていた。
そんな中で、シュルリと蘇芳色のリボンを解いたレオンは、巻かれた紙をキールに向けてかざした。