男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「さっき俺に言ったな。不法侵入罪に不敬罪だったか? それは全てこの書面で帳消しだろう」
私の位置からはレオンが持つ書面に書かれた文字が見えない。けれどそれがどういうものなのかは、この状況が物語っていた。
書面は皇帝陛下から得たもので、その命によってレオンはこのコーデリア公爵邸の敷地に足を踏み入れているということを。
そしてそれが正当性のあるものだという事は、キールの苛立つ表情を見れば一発だった。
「どうやら陛下は俺とリーチェとの関係を全くご存じではなかったようだ。だからお前が持つ書面は撤回すると言っていたぞ」
「そんな馬鹿な……」
「馬鹿なものか。いくらこの帝国に数少ない公爵家だとしても、俺は皇帝に仕える騎士。どれほどの命を受けてこの国の為、陛下の為にこの身を捧げてきたか、お前はよく分かっていなかったようだな」
言葉の最後に、レオンは私に視線を投げてよこした。
青い瞳の甘い視線に、思わず私の胸はとろけそうになる。
けれどその瞬間、私の視界に入ったのは驚いた様子でレオンに視線を向けているマリーゴールドの姿だった。
ガラス玉の様な大きくて澄んだ瞳は、まるで引力に惹きつけられているかのように、レオンだけを見つめている。
さっきまで青くしていた顔には、ほんのり朱の色が差している。それを見ただけで、とろけそうになっていた私の胸は、どんどん熱を失い、固く冷たく閉ざされていくような気がした。
そんな私の様子を知る由もなく、レオンはさらにキールへと言葉を投げつけた。
私の位置からはレオンが持つ書面に書かれた文字が見えない。けれどそれがどういうものなのかは、この状況が物語っていた。
書面は皇帝陛下から得たもので、その命によってレオンはこのコーデリア公爵邸の敷地に足を踏み入れているということを。
そしてそれが正当性のあるものだという事は、キールの苛立つ表情を見れば一発だった。
「どうやら陛下は俺とリーチェとの関係を全くご存じではなかったようだ。だからお前が持つ書面は撤回すると言っていたぞ」
「そんな馬鹿な……」
「馬鹿なものか。いくらこの帝国に数少ない公爵家だとしても、俺は皇帝に仕える騎士。どれほどの命を受けてこの国の為、陛下の為にこの身を捧げてきたか、お前はよく分かっていなかったようだな」
言葉の最後に、レオンは私に視線を投げてよこした。
青い瞳の甘い視線に、思わず私の胸はとろけそうになる。
けれどその瞬間、私の視界に入ったのは驚いた様子でレオンに視線を向けているマリーゴールドの姿だった。
ガラス玉の様な大きくて澄んだ瞳は、まるで引力に惹きつけられているかのように、レオンだけを見つめている。
さっきまで青くしていた顔には、ほんのり朱の色が差している。それを見ただけで、とろけそうになっていた私の胸は、どんどん熱を失い、固く冷たく閉ざされていくような気がした。
そんな私の様子を知る由もなく、レオンはさらにキールへと言葉を投げつけた。