男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「あとなんだ。暴行罪と言っていたな」

 レオンは私を抱きとめたままで、左手の手袋を外す。

「それに関してはこちらも言い分がある。キール・ロッジ・コーデリア公爵、決闘を申し込む」

 そう言ったのと同時に、キールめがけて手袋を投げつけた。
 その瞬間、この場にいる誰もが息を飲んだ。

「けっ、決闘だと……⁉」
「言っておくが、代理を立てるのは許可しないぞ。俺はお前と差しで勝負をするつもりだからな」

 ……それって、どうなんだろう。
 レオンがキールに決闘を申し込んだ事も驚きだけど、そもそもレオンは騎士だ。帝国一と呼ばれるような騎士がキールに決闘を申し込むのは、あまりに一方的な気がする。
 かといってキールに同情するつもりは毛頭ない。
 だけど……。

「レオンあの……」
「その頬」

 レオンは私の頬にそっと触れる。そして今度はその視線を私の足元に向けた。

「その足も。その怪我を負わせた責任をきちんとその身で取らせます」

 そう言った後、私の視界はグルンと回転する。
 気がつくと視線がいつもより高い……って、これ、お姫様抱っこってやつ⁉︎

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