男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「いいや、狂気でも何でもない。騎士とはいえ、決闘を申し込んではいけないという法律はない」
「だが!」
「なんだ、怖じ気づいたのか? さっきまでの威勢はどうした? 虚勢を張るのは女性の前でのみなのか?」
「なんだとっ!」
キールの緋色の瞳の奥には、マグマのような熱を感じる。それほどの怒りを彼はレオンに向けていた。
私はその隙をついて、キールとの距離を詰める。そして――。
「コーデリア公爵様、あっ……」
そう言って彼の足元を指さした。すると不意を突かれたせいで、キールのみならずその場のみんなが私の指先――キールの靴先に視線を向けた、その瞬間だった。
「ーんパンチィィィィ……ッ!」
――ゴッ‼
という鈍い音がキールの頬の上で響く。
キールの靴先を指さしていた左手を胸に引き込み、空いた右手を握り込んで、そのままフルスロットルで振りかぶり、キールの頬を殴りつけた。
驚いた顔をしたまま、キールの顔が私のパンチによって変形する。
正義の鉄拳、ア●パンチ。
グーパンチも、人を殴る行為すらも前世踏まえて初だ。だから……。
「……いったぁ!」
人を殴るのって、こんなに自分にも痛みが返ってくるとは思ってなかった!
前世で読んだ少年漫画ではこんなシーン見なかったから、知らなかった。殴った方も痛いなんて教えておいて欲しかった。
「だが!」
「なんだ、怖じ気づいたのか? さっきまでの威勢はどうした? 虚勢を張るのは女性の前でのみなのか?」
「なんだとっ!」
キールの緋色の瞳の奥には、マグマのような熱を感じる。それほどの怒りを彼はレオンに向けていた。
私はその隙をついて、キールとの距離を詰める。そして――。
「コーデリア公爵様、あっ……」
そう言って彼の足元を指さした。すると不意を突かれたせいで、キールのみならずその場のみんなが私の指先――キールの靴先に視線を向けた、その瞬間だった。
「ーんパンチィィィィ……ッ!」
――ゴッ‼
という鈍い音がキールの頬の上で響く。
キールの靴先を指さしていた左手を胸に引き込み、空いた右手を握り込んで、そのままフルスロットルで振りかぶり、キールの頬を殴りつけた。
驚いた顔をしたまま、キールの顔が私のパンチによって変形する。
正義の鉄拳、ア●パンチ。
グーパンチも、人を殴る行為すらも前世踏まえて初だ。だから……。
「……いったぁ!」
人を殴るのって、こんなに自分にも痛みが返ってくるとは思ってなかった!
前世で読んだ少年漫画ではこんなシーン見なかったから、知らなかった。殴った方も痛いなんて教えておいて欲しかった。