男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「レオン様、早くあのご令嬢を安全な場所へお連れ下さい」
「いいえ、リーチェの安全が先です」
背後から感じるレオンのぬくもりに、私の心臓はアメーバのように分裂する。
彼に触れられる場所、彼の吐息や熱を感じる場所全てに、心臓のような鼓動を感じてしまう。
片側だとはいえ、打たれた頬が赤くてよかった。ここが屋敷の中でなく、薄暗い外でよかった。
「私は大丈夫です。ここには多くの人が集まっています。こんな場では公爵様も私をぶつ事はできないでしょう」
たとえそうしたいとしても。さすがに公爵という肩書きがあるだけに、数多い貴族の前では手出しはできないだろう。
「それでも、あなたを安全な場所へ連れて行くのが先です。リーチェ、あなたは頬だけでなく、足も傷だらけなのですよ? それにこの格好のまま夜風の当たる場所に一人にするわけにはいきません」
どこまでも彼の優先順位は変わらない。一度は今日のパーティから追い返されたとはいえ、パートナーとして乗り込んだ仲。それに形だけの婚約関係だとしても、彼は本物のパートナーとして私に接し、優先してくれる。
もちろん彼がそういう態度を取るのには理由がある。レオンは私を好きだと言ったのだから、それならばこの態度は納得できるけれど……きっと彼のその考えは今、揺れに揺れていることだろう。
「いいえ、リーチェの安全が先です」
背後から感じるレオンのぬくもりに、私の心臓はアメーバのように分裂する。
彼に触れられる場所、彼の吐息や熱を感じる場所全てに、心臓のような鼓動を感じてしまう。
片側だとはいえ、打たれた頬が赤くてよかった。ここが屋敷の中でなく、薄暗い外でよかった。
「私は大丈夫です。ここには多くの人が集まっています。こんな場では公爵様も私をぶつ事はできないでしょう」
たとえそうしたいとしても。さすがに公爵という肩書きがあるだけに、数多い貴族の前では手出しはできないだろう。
「それでも、あなたを安全な場所へ連れて行くのが先です。リーチェ、あなたは頬だけでなく、足も傷だらけなのですよ? それにこの格好のまま夜風の当たる場所に一人にするわけにはいきません」
どこまでも彼の優先順位は変わらない。一度は今日のパーティから追い返されたとはいえ、パートナーとして乗り込んだ仲。それに形だけの婚約関係だとしても、彼は本物のパートナーとして私に接し、優先してくれる。
もちろん彼がそういう態度を取るのには理由がある。レオンは私を好きだと言ったのだから、それならばこの態度は納得できるけれど……きっと彼のその考えは今、揺れに揺れていることだろう。