男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 さすがはこの世界の女主人公。可愛さの格が違う。
 レオンもそうだけど、やっぱり別格だ……って、私がそう描いたのだけど。
 こうしてレオンとマリーゴールドが隣り合わせで並ぶと、やっぱりすごくお似合いだ。リーチェも可愛く描いたつもりだけど、次元が違う。

 ショップのショーウィンドウに映る自分の姿を見て、二人と並んでみる。
 主張するような真っ赤な髪とキラリと輝く金色の瞳。ドレスだってマルコフが私の見た目にお金を注ぎ込み出したおかげで、以前よりも上質なものを身に纏っているというのに、マリーゴールドに勝てる気がしない。むしろどこかみすぼらしく思えてしまうのは、滲み出る主人公の品格の違いだろうか。

「こちらこそ挨拶が遅れてしまいました、リーチェ・ロセ・トリニダードと申します。クレイマス伯爵令嬢様、走れているところを見ると足の怪我は心配しなくてもよさそうですね」

 マリーゴールドと同じように、ドレスを掴んで挨拶を交わす。にっこりと笑顔を取り繕って見たが、ちゃんと笑えてるだろうか。
 本来なら、生のマリーゴールドを見れた幸せでテンション爆上がりしてもおかしくない状況なのに、心はスンと静まり返っている。それがなんだか寂しくもあり、申し訳ない気持ちにもなる。

「マリーと呼んで下さいませ! はい、あの後すぐに治療をしてもらったおかげでこの通りです!」

 マリーゴールドは恥ずかしげもなくドレスの裾を少し持ち上げ、足首をプラプラさせて見せる。

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