男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 伯爵令嬢らしからぬ振る舞いだが、マリーゴールドがするとなんだか愛らしさすら感じてしまう。
 そしてキラキラとした瞳で、私に愛称で呼んでというマリーゴールド……めちゃくちゃ可愛い。と同時に、ドロドロとした気持ちで見てる自分がとても恥ずかしく思える。

「では私のことはリーチェと呼んで下さいませ、マリー様。怪我が大したことがなくて良かったです」
「そういうリーチェ様こそ、打たれた頬は大丈夫なんでしょうか……? あの時、一人あの場に残してしまった事をすごく後悔しておりました」

 マリーゴールドはそう言って眉毛を八の字に変えながら、申し訳なさそうに頭を下げた。

「助けていただいたというのにあんな形であの場を去ってしまい、本当に申し訳ございませんでした」

 ああ、マリーゴールドは本当に、私が生み出したヒロインだ。上位貴族に当たるのに、腰が低く、その上屈託ない無邪気な愛らしさ。彼女が今本心から後悔と謝罪の言葉を述べていることがひしひしと伝わる。

「マリー様、頭を上げてください。頬はすっかり治りました。それと昨日の件に関しては、マリー様が謝る必要はないのです。悪いのは全て、あの公爵様ですから」

 私がそう言った瞬間、マリーゴールドは唇をへの字に変えながら顔を上げた。

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