男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「ところで、容姿を変えていたのは錬金術の力なの?」
「そうです、そうです。俺、無駄にイケメンなんで顔が良いと面倒なことも多いんですよねぇ」

 チャラいにーちゃんみたいな話口調に、幾分か緊張が解ける。
 確かに無駄にイケメンだ。無駄に私に緊張を敷いてくるという意味で、無駄だわ。

「だからちょっとでも入り口狭くしよーと思って、こんな薬を開発したんっすよ」

 どんどん口調も崩れていく。イケメンで口調が軽いとチャラい奴に見えてくるな。
 まぁそれでも、チャラいだけなら害はないから良いけど。クズいより数万倍マシだ。

「最初の印象は悪いかもしんないっすけど、その分インパクトは強いでしょ? 俺が変身解いたら大抵の人は驚いてくれるんでね」
「そうね、2つの意味で驚くわよね」

 一つはその容姿で。もう一つはその技術に。

「そう! 話がわかる人っすねー!」

 パチンッ! なんて指を鳴らしながらその鳴らした指を私に向けて指す。さすがにマナーがなっていない。錬金術師や魔道士は魔塔と呼ばれる塔で学び、培い、伸ばす。魔塔に関しては別の世界というか、次元というか。

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