男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 この帝国のしきたりや貴族社会とは隔離され、独立した世界を構築しているため、生まれが庶民であろうと、貴族であろうと、実力社会なのが魔塔の世界だ。
 だから彼がこうして不作法な態度を取るのは不思議なことではなく、むしろ崩れながらも敬語を使おうとしているところにまだ信用がおけるというものだ。
 だけどーー。

「おい、オットー。俺とリーチェはお前の雇い主だ。態度を改めろ」

 レオンはそうはいかないよね。
 そもそも高位貴族というだけでなく、軍人だしね。軍人は魔塔と同じく実力社会だもんね。
 そもそもレオンのいうことも正しい。私達はオットーにお金を払って雇っているのだから、それなりの態度は必要か。
 まぁ、私からすればこの敬語とは言えない敬語が、すでにそれなりの態度として受け取っているから良いのだけど。

「はいはい。気をつけますー」

 気を付ける気はあまりなさそうね。
 私はマリーゴールドの隣に立って、彼女が真剣に見つめているオットーの机の上を覗き込む。作業台とも呼べる机の上は、物こそたくさん置かれているが、思ったよりもこ綺麗だ。

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