男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 オットーが錬金術に長けていることはさっきの薬で理解できるけど、実際にどうやって抽出するのかは見てみたい。

「オットー、私が指定する精油を今から抽出することって可能なのかしら?」
「もちろんっす。その原料になるモノさえあればですがね」
「じゃあ確認してくれる? 欲しいのはパインニードル、オレンジ、ローズオットーよ」
「おっ! オットーだなんて、俺と同じ名前の付く花を選ぶところが、さすがっすね!」

 何がさすがなのかは、つっこまないことにした。
 チャラい子には放置プレイがちょうどいいと、前世の私の経験がいっている。
 特に何かを考えて言っていない場合は、いちいちつっこんでいては体力が消耗してしまう。それにツッコミを待っていないノリで会話している彼だから、いちいち聞いていては話も滞る。

「どう? 手に入りそうかしら?」
「まぁこの場所なら大抵のものは手に入るので、いけると思うっすけど……」

 そう言った後、オットーは机の引き出しから一枚の紙を取り出した。
 古びた紙には魔法陣の模様が描かれている。それを元に近くにあった木の枝で地面に同じ模様を描いていく。

「それは、魔法?」
「俺のじゃないっすけどね。魔塔の魔法使いに借りたポータルです」

 ポータル……というと、瞬間移動ができる陣ってことなのかな?

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