男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「ふぅ……」
私はズキズキと痛むこめかみに手をあて、そっと目を閉じる。
「頭痛に効くアロマ……今は手持ちがないわね」
強いていえば、失恋に効くアロマがあれば良いのに。
精神を落ち着かせたり、落ち込んだ気持ちを整えるような香りはある。
けれど私が今求めているものはそういうものではない。
好きになってしまった相手を、忘れるような……この感情ごと取り除いてくれるような香りがあったら良いのに。
「……とことん私は、めんどくさい奴だわ。そもそもこうなることがわかっていたのに、夢見ちゃって。夢見がちなのは前世から変わらないわね」
漫画家だったのだから、いろんな妄想も夢見も得意分野だった。それが今世まで持ち越されるとは……。
そう思って流れゆく窓の外の景色に目を向けていた、その時だった。
窓の外に一瞬映り込んだ黒い影。
動物にしては大きなそれが、一体何なのか確認しようと食い入るように視線を向けた瞬間だった。
ーーガゴンッ、と大きな音と共に馬車が揺れた。
私はズキズキと痛むこめかみに手をあて、そっと目を閉じる。
「頭痛に効くアロマ……今は手持ちがないわね」
強いていえば、失恋に効くアロマがあれば良いのに。
精神を落ち着かせたり、落ち込んだ気持ちを整えるような香りはある。
けれど私が今求めているものはそういうものではない。
好きになってしまった相手を、忘れるような……この感情ごと取り除いてくれるような香りがあったら良いのに。
「……とことん私は、めんどくさい奴だわ。そもそもこうなることがわかっていたのに、夢見ちゃって。夢見がちなのは前世から変わらないわね」
漫画家だったのだから、いろんな妄想も夢見も得意分野だった。それが今世まで持ち越されるとは……。
そう思って流れゆく窓の外の景色に目を向けていた、その時だった。
窓の外に一瞬映り込んだ黒い影。
動物にしては大きなそれが、一体何なのか確認しようと食い入るように視線を向けた瞬間だった。
ーーガゴンッ、と大きな音と共に馬車が揺れた。