男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「あの、バービリオン侯爵様」
「なんだ」

 相も変わらず表情が読めないイケメン。なんだって……それはこっちが言いたいセリフなんだけど。

「私はもう一人でも大丈夫ですので、侯爵様はそろそろパーティを楽しんでいらっしゃってはいかがでしょう?」

 さっきあんな修羅場を見せた後だから、少しでも品位を見せたくてほんのり笑みを浮かべてみる。
 レオンはこんなモブ令嬢と一緒にいるよりも、華やかな会場が似合う人物だ。
 煌びやかな会場ではたくさんの視線を一身に浴びることだろう。
 そしてたくさんのダンスの申し込みを心底嫌そうな顔で一蹴するこの男……本当に私の好みすぎる。
 一般的な対応は別として、誰にでもいい顔をするわけではなくヒロインにだけ向ける好意。
 前世彼氏いない歴=年齢の私の嗜好であるクールガイだ。
 そんな男をここで独り占めするのはすごく贅沢だけど、対面ってキツくない? いや、横に座られたらもっとキツいけど。

 だからさっさと出て行ってもらって、私はゆっくり足を伸ばして背筋も丸めて座りたいと思っていた矢先だった。

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