男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「この香水を作った令嬢が参加していると聞いたからな」
「それ、どこで……?」
驚いた。まさかレオンが私の香水を持ってるとは思わなかったんだけど。
レオンの大きな手の中で、携帯用の小さな香水瓶がプリズムに輝いている。
「これはトリニダード嬢が作って販売している商品だと聞いたが?」
レオンはほんのり眉間にシワを寄せ、私の顔を覗き見ている。その表情、メガトン級の破壊力だからやめて欲しい。
イケメンはどんな表情をしてもイケメンだから、イケメンと呼ばれる所以である。
「聞いた情報は確かだと思っていたのだが、違ったのか?」
「ああ、いえ、合っています。私の商品ではあるのですが……まさか侯爵様まで持っていらっしゃるとは思わなかったもので驚いてしまいました」
そう、そこだ。
販売元をたどってくるほど、彼は香水に興味が無いと思っていた。というか、そんな裏設定を描いた覚えはないのに。
この世界の作者は私だけど、私が全てを掌握しているわけでもなければ、むしろ知らない事の方が多いのかもしれない。
マンガの中の世界では、コマ割りの中、紙の上に広がった世界が全てだけど、生きている人間からすれば、そんなものは切り取られた人生の一部分でしかないんだわ、きっと。
「ああ、以前従者に勧められて使用したのだが、香りがとても良かった」
「ということは、侯爵様……とても疲れていらっしゃいますね?」
あの香水瓶の中に入っているのは一番最初に香る匂い、トップノートにラベンダーを。
そして30分から2時間ほど持続する香り、ミドルノートにはローズウッド、発揮する香りが一番最後にくる、ベースノートにはサンダルウッドを調合したもの。
心を落ち着かせ、緊張をほぐし、精神を安定させてくれるようなバランスの香りにしたのは、この世界の人達もみんな、私がいた現代と同じように心身ともに疲れているように見えたから。
礼儀・作法を重んじ、いつも人と競い合う貴族社会。
その上堅苦しい社交界にその為に着飾る、堅苦しくて重い男性服と、締め付けのキツい女性のドレス。
心も体も気を引き締めているだけに、この香水は人に進めやすかったんだけど……。
「それ、どこで……?」
驚いた。まさかレオンが私の香水を持ってるとは思わなかったんだけど。
レオンの大きな手の中で、携帯用の小さな香水瓶がプリズムに輝いている。
「これはトリニダード嬢が作って販売している商品だと聞いたが?」
レオンはほんのり眉間にシワを寄せ、私の顔を覗き見ている。その表情、メガトン級の破壊力だからやめて欲しい。
イケメンはどんな表情をしてもイケメンだから、イケメンと呼ばれる所以である。
「聞いた情報は確かだと思っていたのだが、違ったのか?」
「ああ、いえ、合っています。私の商品ではあるのですが……まさか侯爵様まで持っていらっしゃるとは思わなかったもので驚いてしまいました」
そう、そこだ。
販売元をたどってくるほど、彼は香水に興味が無いと思っていた。というか、そんな裏設定を描いた覚えはないのに。
この世界の作者は私だけど、私が全てを掌握しているわけでもなければ、むしろ知らない事の方が多いのかもしれない。
マンガの中の世界では、コマ割りの中、紙の上に広がった世界が全てだけど、生きている人間からすれば、そんなものは切り取られた人生の一部分でしかないんだわ、きっと。
「ああ、以前従者に勧められて使用したのだが、香りがとても良かった」
「ということは、侯爵様……とても疲れていらっしゃいますね?」
あの香水瓶の中に入っているのは一番最初に香る匂い、トップノートにラベンダーを。
そして30分から2時間ほど持続する香り、ミドルノートにはローズウッド、発揮する香りが一番最後にくる、ベースノートにはサンダルウッドを調合したもの。
心を落ち着かせ、緊張をほぐし、精神を安定させてくれるようなバランスの香りにしたのは、この世界の人達もみんな、私がいた現代と同じように心身ともに疲れているように見えたから。
礼儀・作法を重んじ、いつも人と競い合う貴族社会。
その上堅苦しい社交界にその為に着飾る、堅苦しくて重い男性服と、締め付けのキツい女性のドレス。
心も体も気を引き締めているだけに、この香水は人に進めやすかったんだけど……。