男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
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 リーチェ・ロセ・トリニダードは、『青愛』ではモブ令嬢だ。

 私が描くマンガのキャラは基本、全キャラ全力投球で描いてるから、愛着はあるけど、位置づけは正直よくない。
 なぜなら彼女は、恋に溺れ、そして破れて自殺する設定だから。

 『青愛』はヒーローである男主人公レオン・ベイリー・バービリオンとヒロインの女主人公マリーゴールド・エマ・クレイマス。
 そして女たらしのキール・ロッジ・コーデリアの三人がメインキャスト。

 キールは超美形で私の好みを選りすぐった顔に描いたけど、中身はただのクズ野郎。
 女性を見ればすぐに手を出し、地位も名誉もある公爵家なため、偉そうな俺様だ。
 完全に顔だけの悪役なんだけど、悪役にも愛着がわくようにって外見を私好みのイケメンにするため、力を注ぎまくった男だ。

 そんなキールに想いを寄せるのが、リーチェ。
 リーチェは父親が商人で爵位を買い取った田舎男爵。
 田舎者ゆえに、箱入りというか奥手。
 そんなリーチェが新鮮に見えたのだろう、キールは彼女に手を出し、リーチェはキールに惚れ込んでしまう。

 女たらしのキールはリーチェを良いように言いくるめ、彼女を暇つぶしの相手としてキープしていたに過ぎないのに、リーチェは一途にキールを想う。
 やがてキールがマリーゴールドにちょっかいをかけ始めるが、マリーゴールドはキールに見向きもしない。
 その様子が気に食わないキールはさらに彼女を追う。
 するとリーチェのことなど一切相手にしなくなり、想いが強すぎるがゆえに、リーチェは自殺をする。

 自殺をすることで、キールの意識に残ることを祈って――。

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