男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
ただこの世界には魔法が存在する。異世界を描くならやっぱり魔法は必須でしょ。って思って描いたんだけど、残念な事に私が転生したリーチェはただの平凡な人間で、魔法なんて使えない。
せっかく魔法が生きる世界に来たのに、なんたる無念……。魔法が使えればもう少し色々と便利だったかもしれないのに。
そう思いながら私は再びソファーに座り、準備されているティーポットに手を伸ばす。そして同じくそばに置かれていたティーカップに紅茶を注ぐ。
アールグレイの香りが、さらに私を癒してくれる。ゴクリと一口飲んだ後、窓の外を見つめながら……。
「さて、あのクソ男に返事を書かなくちゃ」
気が重くないと言えば嘘になるけど、気持ちが落ちついたおかげでひとつ案が思い浮かんだ。
キールの思い通りなんてなってやるものか。
そう思いながら、私は便箋を二枚手に取った――。
*
「改めて、先日は危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
私はそう言って頭を下げた。
頭を下げた相手は私のビジネスパートナーであり、この世界の男主人公であるレオン。
ここはレオンの屋敷、バービリオン侯爵家の客間だ。さすがは古くから続く名家、客間も豪華。
絢爛煌びやかとまではいかないけれど、趣もあり、なにより優美な内装だ……と、私がたくさんの中性ヨーロッパ資料を読み漁って描いた客間なんだけど。
せっかく魔法が生きる世界に来たのに、なんたる無念……。魔法が使えればもう少し色々と便利だったかもしれないのに。
そう思いながら私は再びソファーに座り、準備されているティーポットに手を伸ばす。そして同じくそばに置かれていたティーカップに紅茶を注ぐ。
アールグレイの香りが、さらに私を癒してくれる。ゴクリと一口飲んだ後、窓の外を見つめながら……。
「さて、あのクソ男に返事を書かなくちゃ」
気が重くないと言えば嘘になるけど、気持ちが落ちついたおかげでひとつ案が思い浮かんだ。
キールの思い通りなんてなってやるものか。
そう思いながら、私は便箋を二枚手に取った――。
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「改めて、先日は危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
私はそう言って頭を下げた。
頭を下げた相手は私のビジネスパートナーであり、この世界の男主人公であるレオン。
ここはレオンの屋敷、バービリオン侯爵家の客間だ。さすがは古くから続く名家、客間も豪華。
絢爛煌びやかとまではいかないけれど、趣もあり、なにより優美な内装だ……と、私がたくさんの中性ヨーロッパ資料を読み漁って描いた客間なんだけど。