男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
ムカつきすぎて、あの後あの手紙で鼻かんで、くしゃくしゃに丸めた後に暖炉の火にくべてやったわ!

「レオン侯爵様に相談というのが、このパーティの事なのです。レオン様がパーティを好まない事は承知しておりますが、私のパートナーとして参加して下さらないでしょうか?」

 即刻断られる事も念頭に入れ、私は事前に用意しておいた別のプレゼントに手を伸ばす。
 すると――。

「いい判断だな。いいだろう」
「きっとそうおっしゃると思っておりました。もちろんタダでお願いをするつもりは……」

 返ってくるであろうレオンの言葉を想定しながら、事前に用意しておいた言葉を放った矢先のことだった。
 レオンの肩眉がピクリと跳ねたのを目撃したと同時に、セリフの食い違いに違和感を覚えた。
 ……あ、あれ? 今なんて?

「恐れ入りますが、侯爵様。今、なんとおっしゃいましたでしょうか?」

 レオンは「コホン」と咳ばらいをしてから、再びこう言った。

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