男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「私はあなたとそのパーティに参加すると言ったのだ」
えっと……聞き間違いではない、のよね?
令嬢の品性などというものは、この際一旦置いておこう。思わず小指を耳の中に突っ込んで、耳をかっぽじる。
「なんだ、相談に来ておいて断って欲しかったような態度だな」
「あっ、いえ、とんでもないことでございます……が、正直のところ、最低でも一度は断られると想定していたために驚いてしまいました」
素直にそう言うと、レオンはクスリとほほ笑んだ。
「ではそなたの希望通り、断れば良いのか?」
やばい。ほんの少し笑っただけ、口角を少し引き上げただけなのに――その笑みの威力ときたらマグナム級だ!
ほほ笑みの爆弾が私の心臓の上で炸裂した。
ここで心臓発作にて死亡しても、きっと悔いはないだろう。
前世のゲロテロリスト後に階段踏み外して死ぬのとは大違いのハッピーエンディングと言える。心の底から。
「ちなみにその手に持っている別の箱はなんだ? それも私へのプレゼントか何かなのか?」
笑顔に気をとられて意識がはるか遠くへと離れていたが、レオンのこの一言に再び私の意識はこの世界に呼び戻された。