男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「早速、確認してもいいか?」
「はい、もちろんです」

 手に持っていた箱をテーブルの上に置き、そっとレオンの方へと寄せる。するとレオンは神妙な表情でそれを受け取り、そおっと箱を開けた。
 今度の香水瓶はさっきのものとは違い、媚薬香水っぽさが感じられるようにピンクの小瓶に入っている。
 試作とは言ったものの、内容はほぼ完成している。

 トップノートにアニス、ミドルノートにイランイラン、そして一番重いベースノートにはローズウッドをブレンドした。
 どれも催淫効果が期待できると言われているアロマを選んだけど、特に催淫作用で有名なものとしてはイランイラン、もしくはジャスミンだ。

 今回はかの有名な絶世の美女、クレオパトラが愛用したとして有名なイランイランを採用することにした。
 クレオパトラの鼻がもう少し低ければ歴史が違ったかも……というような逸話が語られるほどの美女と聞くけど、香りに関しても似たような話がある。

 クレオパトラが甘く陶酔させるような香りを持つイランイランを好んでつけていたから、カエサルを落としたとか、なんとか。
 とにかくイランイランはそれくらい妖艶な香りと言われている。

「香りを試してみたいのだが、いいか?」
「もちろんです」

 ……なんか、ドキドキする。
 そんな真剣な表情されたら、こっちまで緊張してきて息止まりそうなんですけど。

< 61 / 137 >

この作品をシェア

pagetop