男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
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真新しいドレスにソデを通し、うちの家門の人間ではない侍女達が私のコルセットを締め上げる。
……私はここで一体、なにやってんだろう。そう思わずにはいられない。
有言実行の男レオンが言った通り、バービリオン侯爵家の従者が一番足の早い馬に跨り、私のドレスを買い付けて来てくれた。
しかもドレスに合わせて宝石まで用意させるというおまけつきだ。
パーティ嫌いな男が、この家で今からパーティでも開くの? と思わせるほど私を着飾らせてきたため、困惑を隠せずにいる。
ドレス代は経費で落としてくれるのかな? 請求書は男爵家に送らないように口裏合わせておかなくては。
マルコフに言えばドレスくらい買ってくれるし、このくらいの金額どおってことはないのだろうけど、侯爵家から支払い請求が来たとなると要らぬ誤解やら勘ぐりは防いでおきたいところだ。
「失礼いたします。夕食の準備が整いましたので今から広間にご案内致します」
ドレスを着こなし、ついでに髪のセットまでしてくれた侍女に代わり、別の侍女が私を連れて広間まで案内してくれた。
広い屋敷。広さだけでなく格式の高い侯爵家内部。私がマンガの内部に描いたのは一部だけど、間取りや全体像は自分用の資料として思い描いていた。
ここは私の資料通りの建物だ。だからこそこうして初めて通る廊下ですら、親近感を覚え、これからどのルートを通れば広間に着くのかも把握済みだ。