男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 ただリーチェはそれとは別で、商人であるマルコフの血筋なのか、お酒にはめっぽう強いらしい。
 ただし全く酔わないわけではなく、飲むとフワフワとした気持ちになり、それが永遠と持続するタイプだ。
 決して前世のように吐き散らかすことはしない。そこが何より大事なポイントだ。

「では先日手に入れたワインを持って来てくれ」

 言い方からして何やら秘蔵のものっぽい。思わず舌なめずりしそうになったのを、口元を綻ばすフリをして誤魔化す。
 その間にも料理は順番に運ばれ、秘蔵っ子ワインを今か今かと待ちわびていたけれど、どうやら細いグラスに注がれたのはスパークリングワイン。料理も見る限りアントレの様子だ。

 フレンチスタイルなのかな? コースで振舞われるような少量で軽いものから順番に運ばれてくる。急に夕食を一緒に取ることになった割に、用意周到だ。さすがは名門の侯爵家。

 食事が終盤に差し掛かり、メインディッシュと共にレオンが言っていたであろうワインもふるまわれ、気持ちが幾分も良くなってきていた矢先の事だった。
 なんて事ない会話を繰り広げていた最中、レオンが本題に踏み込んだ。

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