男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 柑橘系の場合は果実の皮を絞って抽出する圧搾法もある。
 他にも方法はあるけど、結局はどれも大量の植物から取れるのはほんのわずかという訳だ。

 この世界には魔法使いと錬金術師がいる。
 魔法使いは名前の通り、魔法を操ることができ、錬金術師は私のいた前世でいうところの化学者。ただし使うのは魔力であるマナだ。

 錬金術師が抽出すれば、余計な人員やコストは削減できるし、上質だ。それに、抽出に時間もかからない。
 今後の事を考えるなら、腕の良い錬金術師を抱えておくのは悪くないと思う。

 そしてなぜ私がこんなことを頼むのかというと……材料集めがめちゃくちゃめんどくさいからだ。
 商人であるマルコフのコネを使えば難しい事ではないけど、それはマルコフの顔色をうかがわなければならないし、毎度彼にお願いしなければならなくなる。

 一度知り合った相手であれば、もちろん私がやりとりすることは可能だけど、なにせ相手が令嬢の私だからか毎度なめてかかられる。
 その態度をいなし、うまくビジネスとして繋ぎ、やり込めるのは面倒でしかたなかった。

 マルコフ相手だとヘコヘコしてるのに、相手が小娘と分かったら顔色変える。そんな信用もならない相手に時間を割くつもりもない。
 そんなこんなで、投資家でもありビジネスパートナーでもあるレオンにお願いに来たってわけだ。

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