男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
「あの、いくらビジネスパートナーとはいえ、完全に同等とはいかないかと思います。そうでなければ品位を疑われるのは私の方ですので」
「そうだな……では私がリーチェに合わせて敬語を使いましょう」
「ええっ、なぜですか⁉」
「これならば私とあなたは対等で、周りはリーチェ嬢の品位を疑う事はないでしょうから」
「そっ、そうですが……」

 推しが私に敬語使ってくれるのって……なんか、めちゃくちゃ良いな。
 そもそもイケメンが敬語使うのって良いよね。しかも相手が年も位も上っていうのがまた、グッとくる。
 レオンを呼び捨てにしたり、レオンに呼び捨てにされるよりも、私はこの方が胸が高鳴ってしまうわ。なぜか。
 そう思いながら、私は膝にかけていたナフキンを口元に当てるふりをして、鼻をそっと拭った。
 ……よかった。
 どうやら今のところ、鼻血は出てないみたいね。

「あと私からも一つ話があるのですが」
「なっ、なんでしょうか?」

 敬語を使われる事で普通なら距離を感じるはずなんだけど、なんだかさっきまでよりも表情に明るさを感じるせいか、なぜか距離が縮まったような気がするのはなぜなのか。
 いやいや、そもそも周りからは冷血漢と思われてるような人物の表情に明るさを感じるのも変な話だし。

「コーデリア公爵家のパーティへ一緒に行くのであれば着るものを新調しようと思っているのですが、リーチェ嬢のドレスの色をうかがってもいいですか?」

 ドレスの色? それって、まさか……。

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