男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
 「コホン」と喉を整えながら、しっかりと口元をナフキンで拭った。

「……あの、理由をうかがっても?」
「ビジネスパートナーとして、私があなたを守るのは当然でしょう」

 いや、そこは当然じゃないと思うんだけど。

「ですがこれはプライベートな話ではあるので、レオン様が責任感を感じる必要はないかと思います」
「いいえ、あいつをあなたのそばに置いておくと、事業で関わる私にも被害がかかってくるのは目に見えています」

 敬語は使ってくれてるのに、キールのことはあいつ呼ばわりなんだ……。
 まぁ、あいつ呼ばわりしたくなる気持ちは、私もめちゃくちゃ分かるけど。

「あいつがリーチェに良からぬことを考えている事は間違いないでしょう。私としては今すぐにでもあなたのお父上、トリニダード男爵に私とリーチェの関係を伝えたいくらいです」
「……? えっと、父でしたらすでに、私とレオン様が共同事業を始めたという事を知っています」

 察しの良いレオンならその事にも気づいてると思ったのだけど? なにせマルコフが商人で情報通な事も知ってる様子だったし。
 ただ知っていたとしても、それがどうこの状況を打破する事になるとレオンが考えているのかがよく分からない。

< 93 / 137 >

この作品をシェア

pagetop