ふたつの秘密
彼女はそう言い残すと私の3千円を乱暴にスカートのポケットへねじ込んで教室を出ていく。
残された私は立ち上がる気力もなく、座り込む。

今月は好きな漫画の発売月なのになぁ。
そんなことをぼんやりと考える。

誰もいない放課後の教室で、もう何度も繰り返されている彼女から私へのイジメ。
今はまだこの程度で済んでいるけれど、これから先エスカレートしていったらと考えると全身が寒くなる。

でも、それまでは我慢しなきゃ。
私さえ我慢していれば、誰にも迷惑はかからないんだから。

私はゆっくりと立ち上がる。
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